2020/04/13インタビュー
【インタビュー記事】ポーランド国立バレエ団プリンシパル 海老原由佳
【インタビュー記事】ポーランド国立バレエ団プリンシパル 海老原由佳

今回のインタビューはポーランド国立バレエ団でプリンシパルとして活躍されている 海老原由佳さん。 全てのバレエファンにとってヒントがたくさん詰まっているインタビューです。

その時は、まだ漠然としていた

UNBLANCHE:バレエを始め、いつからプロを目指そうと思いましたか?

YUKA:始めたのは6歳からです。プロになろうと真剣に考え始めたのは高校2年生くらいだったと思います。バレエ教室の発表会にプロのダンサーがゲストに来ていて、彼女たちの話などを聞いているうちに、本気でこの道に進んでみようと思い始めました。その時はまだ漠然としていて、海外で踊るなどは考えていませんでしたが。

UNBLANCHE:留学はいつから、どんなきっかけがありましたか?

YUKA:高校卒業までは学業と両立してバレエをやっていたので、在学中からずっと、早くバレエ学校に留学して朝から一日中バレエに打ち込みたいと思っていました。でも高校卒業して18歳から受け入れてくれる海外のバレエ学校を探すのは難しく、大学にも進学した傍らまだ諦めきれなかったのでいろいろな選択肢を考えていた時に、GOHのオーディションがあるのを知り受けてみました。他にも選択肢があり迷いましたが、結果的にはGOHに留学できてとても良い勉強になりました。

0から10よりも10を保つほうが大変

UNBLANCHE:GOH BALLET ACADEMY卒業後たくさんのカンパニー、舞台で踊られてましたが、ポーランド国立バレエ団の魅力はどんなところですか?

YUKA:GOHを卒業してから常に上を目指しながらカンパニーを転々としてきて、いろんな環境で働く機会に恵まれました。今ポーランドに落ち着いているのは特にプランしたことではなく、まだここで学べることがたくさんあるのと、カンパニーのレパートリーに惹かれているからです。でも一つの場所にこれほど長くいるのは初めてで、長くいるからこその喜びも苦労もあります。カンパニーを転々としていたときは、新しい地に行く度にゼロからのスタートです。自分を認めてもらいたいと、常に努力して全力を注いでいました。とにかく踊れるチャンスが欲しくて、それをひとつづつ形にしていくことにやりがいを感じていました。今はもうこの劇場で長く踊っているので、良い意味で、安心して自分の与えられた仕事に打ち込めるという感じがします。もちろんカンパニーのプリンシパルで居続けることは大変です。ゼロから1や10にしていくよりも、10を保っていくことのほうが大変だと実感しています。しかし、だからこそ観客からのサポートや、もう長く応援してくれる方々もいて、行き詰まったときなどは本当にそういった方々からの温かい言葉などに助けられています。辛いことはたくさんありましたが今まで経験してきたことや自分が選んできた道に後悔はありません。

UNBLANCHE:ポーラント国立バレエ団の魅力とは?

YUKA:私が入団した9年前はほとんど外国人がいなくて、英語を話すダンサーも少数でした。まだ閉鎖的な雰囲気もあり、日本人ということで辛い時期もありました。しかし今では過半数がポーランド以外の国籍のダンサーです。レパートリーも、いろいろな振付家と仕事する機会があり充実していると思います。最近ではポーランド出身の音楽家ショパンのコンチェルトに振り付けた作品や、全幕ショパンの椿姫を著名なピアニストの演奏で上演しています。その他には古典作品を始め、マクグレガーやフォーサイス、クランコ、ノイマイヤーなどの作品と、ネオクラシカルな振り付けの監督の作品がレパートリーにあります。1日のスケジュールはほかのヨーロッパの劇場と大体同じかと思いますが、基本的には朝10時から18時まで仕事で、公演のある日は大体14時には終わり、夜19時からの公演に備えます。

信じられる自分をつくる

UNBLANCHE:たくさんの舞台を踏んでいますが、由佳さんのリフレッシュの仕方、やる気スイッチはどうやってONにしますか?

YUKA:忙しい時期は本当に家と劇場の往復だけになるので、休みの日は家でゆっくりしたりカフェで本を読んだりするのが好きです。やる気スイッチは初心に返ることですかね。信じられる自分をつくる。毎月始めに小さな目標を作り、その一ヶ月はそれを心がけて過ごすようにしています。なかなかスイッチが入らないときもありますが、とりあえず仕事に行けばそんなこと言ってる暇ないです(笑)

UNBLANCHE:由佳さんの強みとは?

YUKA:得意なものは特にないです。昔から「これなら負けない」みたいのがなくて、今もなにが自分の強みなのか悩みます。でもウォームアップやバーレッスンで自分の身体と対話しながら集中するのは好きです。

自分で気づかないと直せない

UNBLANCHE:レッスンを受けるうえでの由佳さんtipはありますか?

YUKA:どのエクササイズにしても、自分の身体に意識を持つのは大切だと思います。自分のイメージするものと、鏡で見える自分の姿が一致するか。たとえば先生にポジションを注意されて、自分では言われた通り直したつもりだったのにまた同じことを言われる。ビデオや写真でチェックしたら先生の言う通りそのポジションに自分の身体を動かせてなかった。これは自分の身体への意識が足りないと私は思います。自分の四肢がどのように見えているのかを見直すのは、基本的なことですが、役に立つかもしれません。周りがどんなに注意しようと、これだけは自分で気がつかないと直せないと思います。


UNBLANCHE:舞台はどんな気持ちで立っていますか?

YUKA:舞台に出て行くのはいつも怖さとわくわくするのが混じっている感じです。緊張感は常に持っていた方が良い気がします。でも舞台に立ったら、もうごちゃごちゃ考えない。悩むのは袖まで。その先は舞台を楽しむ。観に来ている人たちと同じように。

THE FUTURE STARTS TODAY, NOT TOMORROW

UNBLANCHEでは、あなたのバレエが好きな気持ちを応援します。自分にどんな学校が合うのか、どんなバレエ団があるのか。
バレエを通じてどんなキャリアを作っていくのか、今はまだわからないことがたくさんあると思いますが、一人ひとりに合ったバレエ人生をサポートします。

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